「ワクチンがお金に見えた」 総額17兆円、コロナ特例支援の功罪
https://mainichi.jp/articles/20230309/k00/00m/020/347000c

>ある地方都市の総合クリニック。繁忙期を除き、毎月700万~800万円の赤字を抱えていたが、新型コロナが拡大した2020年1月~22年9月末は大幅な黒字に転換した。

 経営改善を支えた要因の一つが、ワクチン接種業務だ。このクリニックでは当初、接種業務を「割に合わない」と判断し、地元の開業医らに任せる考えだった。

 しかし、接種回数が多い医療機関に国や自治体が補助を加算する特例的な支援を導入すると、力を入れて取り組む方針に転換。別の補助が加算される夜間や休日も、積極的に接種を受け付けた。

 クリニックでは22年9月末までに計約6500人に接種し、収入はワクチン接種の特例加算と、接種に関係する頭痛や発熱などの診療報酬で計1億8000万円に上った。接種業務による特例加算の効果が大きく、多い月で約1500万円の黒字を計上。経営が安定した結果、数千万円のがん検査機器も購入できたという。

 まさに国や自治体の支援が接種を加速させた例といえるが、経理担当者はこう声をひそめる。「『こんなにもらっていいの』というのが本音。ワクチンがお金に見えてしまった」