フォーディスJAPAN 2023/4/29(土) 9:30
https://news.yahoo.co.jp/articles/e8cd8673d60a467b98d8ad66f27987e0c10395a7

環境に関するニュースは、海洋プラスチックの増加や地球温暖化の進行など、ネガティブなものが多い。
SDGsを掲げ、世界中が取り組みを進めているにも関わらず、ポジティブな変化は起きていないのだろうか。

実は、明るい変化は話題になりにくいため、多くの人は知る機会がない。そこで今回は、環境問題に関する7つのポジティブな変化を紹介していく。

■01. オゾン層の回復
国連の専門家委員会は、化学物質による破壊が指摘されてきたオゾン層が、今後数十年で「完全に回復する」と報告した。
オゾン層は、太陽光に含まれる有害な紫外線を吸収することで生物を守っている。以前は、冷蔵庫やスプレーの噴射剤などに使われていた「フロン」により破壊され、大きな問題になっていた。
しかし、1989年に発効した「モントリオール議定書」により、破壊物質の99%を削減。
このままの状態が続けば、1980年のレベルまで数十年で回復する見込みだ。

■02. 海洋保護条約の歴史的合意
3月4日、国連の本部で10年協議されてきた世界の海を保護するための条約案に、各国が合意した。
条約の正式な採択にはまだ多くの作業が必要となるが、条約には2030年までに海の30%を保護区に指定する内容が盛り込まれており、世界の海を守る大きな一歩となることが期待されている。
グリンピース・ノルディックの海洋キャンペーン担当者は、「海洋を保護し、気候変動の影響からの回復力を高め、何十億人もの生命と生活を守る条約を実現させた」と称えた。

■03. サンゴ礁の白化の回復
2022年9月、環境省の調査で、石垣島と西表島の間にある日本最大級の「石西礁湖」が9割以上白化していると報告された。
しかし、今年3月に改めて調査したところ、そのサンゴの白化状態が5割にまで低下し、回復していることがわかった。
回復した理由は、9月の調査後に台風が接近し、海水がかき混ぜられて水温が下がったことと、2016年の大規模白化後、高い水温に強いサンゴに変化していたことだと考えられている。

■04. ハワイの海の透明度が60%改善
ホノルルの中心部から車で30分のハナウマ湾。スノーケルの人気スポットだが、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために、2020年はおよそ9カ月間入場が禁止された。
その結果、湾の自然環境は大きく変化し、水の透明度が60%以上も改善。大きな魚が湾に入ってくるようになったそう。
ホノルル市はこの思いがけない機会を活かすため、入場を予約制にして人数を制限する取り組みを始めている。

■05. 日本のCO2排出量が減少
日本のCO2排出量は、2013年をピークに右肩上がりで減少しており、1人あたりの排出量も同様に減少している。
同じアジアの国でも韓国や中国の1人あたりのCO2排出量は増加しているため、日本は比較的結果が出ていると言える。
しかし、2030年までの目標を達成するためには排出量を3億トン以上削減しなければならず、今後も取り組みを強化していかなければならない。

■06. 日本の再生可能エネルギー比率が増加
日本の再生可能エネルギーの割合が右肩上がりで上昇している。
2014年に12.11%だった割合は、2020年には20.71%になった。 特に割合が増えたのは太陽光発電であり、東京都や川崎市での太陽光パネル設置の義務化により、今後はさらに普及が拡大すると考えられる。
日本で最も発電割合の高い火力発電の割合は年々減少しているが、2020年の段階で74.9%とまだまだ高い水準にあり、継続的な改善が求められている。

■07. 日本人の環境意識が向上
2020年10月に国際環境NGO団体グリーンピースが実施した環境問題への意識調査では、
「新型コロナウイルス感染症の流行の前に比べて、環境問題や環境に配慮した持続可能な暮らしに、より関心を持つようになりましたか。」という質問に対して「非常に当てはまる」もしくは「ある程度当てはまる」と回答した人は53.4%に上った。
また、コロナ禍を機に、買い物をする際の意識や行動は変わった人は「非常に変わった」「ある程度変わった」を合わせると66.8%だった。


未来を悲観しすぎず、無理のないペースで取り組もう。
地球の危機的状況に対する慢性的な無力感や絶望感、罪悪感を【エコ不安症】といい、実際にアメリカでは国民の67%が気候変動が将来に与える影響に強い不安を抱いているといわれている。

「能天気になっていては地球を守れない」と感じるかもしれないが、自分自身がサステナブルであるために、もっとポジティブな変化を知り、前向きにサステナブルを広めていくことが大切だ。