【ロンドン=江渕智弘】ウクライナ軍は3日、ロシアが一方的に併合を宣言している南部ザポロジエ州のオレホフを攻撃した。ロシアのタス通信が伝えた。その後、ウクライナ軍は撤退したという。反転攻勢を目的とした威力偵察との見方が出ている。

ロシア側幹部のウラジミール・ロゴフ氏が同日、ウクライナ軍によるオレホフの攻撃をタス通信に明らかにした。同氏はウクライナ軍が損失を受けて撤退したと述べたうえで「戦闘偵察の試みだったが本格的な攻勢に転じる可能性があることを理解する必要がある」と指摘した。死傷者や建物などの被害は明らかになっていない。

ウクライナ軍の反転攻勢をめぐっては、ロシアの民間軍事会社ワグネルの創始者エフゲニー・プリゴジン氏も3日、「実はもう始まっていると思う」とSNS(交流サイト)のテレグラムにコメントしていた。

欧米諸国から軍事支援を受けるウクライナ軍は占領地の奪還に向けた大規模な反攻を計画している。ウクライナ東・南部では5月に入って天候も回復しており、地面が固まるのを待って、本格的な攻勢に転じる可能性がある。5月9日のロシア祝日「対ドイツ戦勝記念日」の前に反攻を始めるとの見方もある。

日本経済新聞 2023年5月4日 5:41
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR0341F0T00C23A5000000/