悪性の白血病を引き起こす複数のタンパク質の結び付きを発見し、特定のタンパク質の働きを弱める阻害剤によってマウスのがん細胞を減少させることができたと、鶴岡市の庄内地域産業振興センター、国立がん研究センター・鶴岡連携研究拠点がんメタボロミクス研究室などが発表した。人にも使えるように阻害剤が改良されることで、新たな治療法の開発が期待できるとしている。

 研究グループは、放射線の影響などで形成された異常な遺伝子が作り出す融合タンパク質「CALM―AF10」に着目した。この遺伝子の構造を解析するなどし、「CALM―AF10」と通常のタンパク質である「ENL」「MOZ/MORF」が結び付くことで白血病を引き起こすことを突き止めた。

 酵素として働く「MOZ/MORF」に関しては既に働きを阻害する薬剤が開発されており、白血病のマウスに2週間にわたって投与したところ、がん細胞が大幅に減少した。さらに他のタンパク質の阻害剤と併用すると、より効果が高いことも分かった。

 同研究室の横山明彦チームリーダーは「臨床現場で使える阻害剤が開発されれば、非常に効果的な治療薬となり得る。治癒が難しい白血病の治療法の開発が進むことを期待したい」と語った。東京大や九州大、広島大との共同研究で、成果は4月8日付の国際学術誌「ネイチャーコミュニケーションズ」に掲載された。

山形新聞 2023/5/5 08:11
https://www.yamagata-np.jp/news/202305/05/kj_2023050500104.php