0001蚤の市 ★
2023/05/08(月) 06:31:12.80ID:RWwlgVed9交通事故で親を亡くすなどした子どもの進学を支援する「交通遺児育英会」(東京)が、これまでの大学・短大生に加え、高校生にも一部返済が不要の給付型奨学金を始めた。事故により収入が減った交通遺児家庭を取り巻く状況は、コロナ禍や物価高で厳しさが増している。会の石橋健一理事長(80)は「学業に専念できるよう、支援策を拡充していきたい」と話す。(三宅千智)
交通遺児育英会 個人や企業などからの寄付で運営する公益財団法人。1960年代、車社会の到来とともに、交通遺児の高校進学を支援する機運が高まり、69年、設立された。2022年度末まで54年間で計5万7968人の高校、大学生らに累計574億円を貸与(一部給付)した。月額の奨学金のほか、最大80万円の入学一時金の貸与、学生寮運営も行う。
◆月額2~4万円貸与 うち1万円は返済不要
交通遺児育英会は、交通事故が原因で亡くなったり、重い後遺症が出たりした保護者を持つ高校生以上の子どもたちに奨学金を貸し出している。2020年度に大学、短大生らを対象に月2万円が返済不要となる一部給付制度を新設。本年度から高校生にも対象を広げた。
高校生向けの奨学金は、家庭の経済状況などを考慮して月額2万、3万、4万円のいずれかを選択するやり方で貸与する。このうち1万円分が給付となり返済の必要がなくなる。
2月末に新制度を公表した時点で、奨学金を受給することが内定していた新高校2、3年生は約120人いた。現在、新高校1年生約30人が手続き中で、本年度中に180人の給付が見込まれる。
◆奨学金支える「あしながおじさん」募集中
会が交通遺児家庭に実施した生活実態調査では、20年に奨学金を貸与した約450世帯の事故前年収は平均約480万円だったが、事故後は約380万円と100万円も減っていた。アンケートでは「コロナ禍で仕事を失い貯金は減る一方だ」などと窮状を訴える声もあった。会は奨学金制度を支える寄付に協力する「あしながおじさん」を募集中。問い合わせは、交通遺児育英会=フリーダイヤル(0120)52128x=へ。
◆教師になりたい 心理学学びたい 生徒の夢広がる
交通遺児育英会の高校生向け給付型奨学金の対象となった子どもたちは、亡き親の思い出とともに将来への夢を語った。
「心に穴があいた」。中央学院大中央高(東京都江東区)3年の長谷川裕也さん(18)=中野区=は9年前の夏、料理人だった父戴鵬飛たいほうひさん=当時(48)=をバイク事故で亡くした。IT会社に勤める母洋子さん(55)が兄の瑠峰りゅうほさん(24)と自分を育ててくれた。大学受験を控え、「塾などで親の経済的な負担が増えそう。育英会の支援はなくてはならない」。将来は高校教師になって日本史を教えたいという。
千代田区立九段中等教育学校5年(高校2年)の牧田満月みつきさん(16)=江戸川区=は生後8カ月の時、父進さん=当時(33)=がバイクで通勤中、車にはねられて帰らぬ人となった。
母ゆり子さん(52)と猫たちと暮らす。奨学金の給付開始に「身が引き締まる思い。私が勉強することを、親以外にも応援してくれる人がいることがありがたい」と笑顔で話す。大学で心理学を学ぶのが夢だ。
2人は今夏、会が4年ぶりに実施する米カリフォルニア州での語学研修に参加予定。長谷川さんは「現地の文化を体験したい」、牧田さんは「海外に行くのは初めて。ホームステイが楽しみ」と胸を躍らせている。
東京新聞 2023年5月8日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/248490