長野県伊那市教育委員会は26日、市立伊那中学校(有賀稔校長、生徒数330人)の教員のアカウントが不正に使われ、クラウドサービス「グーグルドライブ」に保管していた生徒と教職員の個人情報が漏洩(ろうえい)したと発表した。市教委は不正アクセス禁止法や個人情報保護法などに違反するとして県警に通報した。

 市教委によると、漏洩したのは2022年度と23年度に伊那中に在籍した生徒の「心身面で配慮を要する情報」や、23年度に在籍する食物アレルギーがある生徒の情報、教職員の緊急連絡先など144件のファイル。情報が漏れた生徒数は400人を超えるという。

グーグルドライブに入れた情報が不正ダウンロード
 今月16日、市立伊那小学校のグーグルドライブに、同小教員のアカウントを使った不正アクセスの形跡を発見。市内の全21小中学校で調べたところ、4月15日から5月17日にかけて複数回にわたり、伊那中の教員のアカウントで複数ファイルが不正にダウンロードされていたことがわかった。

 他校でも不正アクセスの形跡を確認しているが、ダウンロードされた事例は確認されていないという。市教委は以前からグーグルドライブを使った個人情報の管理をやめるよう各校に指示していたといい、笠原千俊教育長は「情報管理の責任は私にある。保護者や関係者に多大な不安と不快な思い、深刻な傷を与えてしまったことについて深くおわびする」と謝罪した。

 市教委は今後、再発防止策として、推測されにくいパスワードの利用を徹底させるほか、グーグルドライブの監視を強化するとしている。市教委は27日に伊那中の保護者に説明し、29日には全校生徒に説明する予定。(安田琢典)

朝日新聞 2023/5/27 6:30
https://www.asahi.com/sp/articles/ASR5V73YPR5VUOOB008.html?iref=sp_liftop_all_list_n