https://www.jiji.com/jc/article?k=2023060600815
 領土紛争を抱え対立する中国とインドが自国に駐在する相手国の記者を追放し合う事態となっている。
両国は取材記者のビザ(査証)発給を相互に拒否。インドの中国人記者は既にゼロで、中国で活動するインドメディアもほぼ「壊滅状態」だ。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナルなどによると、中国には年初時点で4人のインド人記者が駐在していた。
中国当局は4月、このうち2人が海外に出た際に、北京に戻ることを禁じた。
かねてインド政府が中国人記者を不当に扱っていると主張してきた中国側は「相応の対抗措置」だと説明した。

これに対し、インド側は5月、新華社通信などインドに残っていた最後の中国国営メディア記者2人のビザ更新を拒否した。
2人は既に出国しており、1980年代以来で初めて中国政府系の記者がインドから姿を消した。
中国当局は、中国に残る2人のインド人記者のうち少なくとも1人の取材許可を取り上げた。
インド側の説明によると、同国メディアは中国で現地人の雇用や国内移動に当たって種々の制限を課されてきたという。

中印関係は2020年、係争地で両軍が衝突し20人以上の死者が出たことで悪化。
その後、両軍は対話を通じて緊張緩和を図ってきたが、依然として溝が残っている。

中印はいずれも報道統制の厳しさが指摘される。
国際ジャーナリスト団体「国境なき記者団」の報道の自由に関する最新の調査で、中国は世界180カ国・地域中ワースト2位の179位、インドは161位とされている。