ウクライナに日本の火薬、アメリカ通じた間接提供を調整…155ミリ砲弾も協議か
読売2023/06/16 06:28
https://www.yomiuri.co.jp/world/20230616-OYT1T50059/
https://www.yomiuri.co.jp/media/2023/06/20230616-OYT1I50030-1.jpg
首相官邸

 政府が、ウクライナに提供する砲弾を製造する米国に対し、砲弾の原料となる日本産火薬を提供する方向で調整していることが分かった。ロシアによる侵略に対抗するウクライナ軍への軍事支援を、日本も間接的に支える枠組みとなる。

 複数の政府関係者が明らかにした。
 ウクライナは、地上戦の要となる155ミリ砲弾などの弾薬を主に米国からの提供に頼っている。ロシアとの戦闘が長期化する中、米国では原料となる火薬が不足し、製造に支障が出ている。米政府からの要請を受けた日本政府内で対応を協議した結果、国内の火薬メーカーで一定量を提供できる見通しが立った。
 政府の「防衛装備移転3原則」の運用指針は、防衛装備品の輸出を厳しく制限しているが、民生用にも広く使われる火薬は制約の対象外となっている。経済産業省が、「外国為替及び外国貿易法(外為法)」に基づいて審査し、輸出を認める。
 政府関係者によると、米国は日本に対し、155ミリ砲弾そのものの提供も要請しているという。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は15日、日本が砲弾を提供する方向で日米が協議していると報じた。
 ただ、防衛装備移転3原則の運用指針では、弾薬の輸出を認めておらず、日本政府内では慎重な意見が多い。松野官房長官は15日の記者会見で、「防衛装備品の移転は、防衛装備移転3原則や運用指針に従って適切に行われる必要がある」と述べた。