都市部を中心に出産費用が高騰している。42万円だった出産育児一時金は今春、50万円に増額されたが、それでも足りないケースがある。一方、国は2026年度からの「出産費用の公的医療保険の適用」を検討。費用を一定に抑える効果があるが、妊婦へのサービス低下につながるおそれも指摘されている。適正な費用や制度づくりに向けた議論が欠かせない。

 6月から出産費用(価格)を値上げした関東地方のあるクリニック。値上げはこの12年間で3回目だ。自然分娩(ぶんべん)は60万円を超える。

 「光熱費や助産師などの人件費、医療器具の高騰、車より高い医療機器の更新、電子決済の導入費、機器の点検費、高額な事業税……。物価高騰は国の責任なのに、なぜこの時期に保険適用なのか」。経営する男性院長はこう話す。

 このクリニックでは年間700件の分娩がある。このうち自然分娩を選ぶ妊婦は6割、ほかはお産の痛みを和らげる無痛分娩だ。無痛分娩には、麻酔科医や麻酔経験のある産婦人科医をそろえるため、人件費も高くなる。

入院を短縮、機器更新できなくなるかも
 出産費用は現在、医療機関ご…(以下有料版で,残り948文字)

朝日新聞 2023年6月25日 12時10分
https://www.asahi.com/articles/ASR6S4SMQR4VUTFL008.html?iref=comtop_Topnews2_01