学生4千人、文理融合の教育展開 王子公園再整備、関学の誘致が実質決定 緑地やアリーナ、地域に開放

 神戸市灘区の王子公園の再整備を巡り、市は29日、大学誘致の公募に名乗り出ていた学校法人関西学院(兵庫県西宮市)が選考委員会の審査を通過し、優先交渉権者に決定したと発表した。提案では国内外から学生約4千人を集め、文理融合の教育を展開。六甲の山並みと調和する緑地空間を設け、ホールやアリーナなどのキャンパス施設を地域に開放する。誘致は実質的に決まり、大学整備の動きが今後本格化する。
 市は昨年12月、同公園内にある王子スタジアムを公園北側に新築・移転し、跡地(約3・5ヘクタール)に大学を誘致する基本方針を策定。今年3、4月には事前登録した事業者の公募を行い、関学のみが参加して事業実施計画書を提出した。

 審査対象は、大学運営の方針と実績▽地元企業の活性化など地域経済発展への取り組み▽課題解決やにぎわいづくりなどの地域貢献▽周辺と調和した景観と防災機能を有する計画▽財務状況の健全性-の5項目。600点満点中6割以上の得点で審査に合格となり、関学の提案は479・40点で基準を満たした。

 関学の事業実施計画によると、キャンパスのコンセプトは「地域・社会・世界の様々な人、情報が行き交うプラットフォームキャンパス」で、アントレプレナー(起業家)育成の拠点に位置付ける。地域に開かれた施設を重視し、地元住民や動物園の利用者らにレストランや食堂などを開放。社会人が知識や技能を学び直す「リカレント」「リスキリング」の教育プログラムも提供する。周辺の商店街や王子動物園のイベントなどに学生が参加するなど地域交流も進めるとした。

 キャンパスの整備では校舎を複数に分けて1棟当たりの規模を抑制。庭や広場は自由に立ち入れる公園のような構造とし、防災拠点としての機能を持たせる。

 跡地の売却価格は100億円で、2026年度末の土地の引き渡しを予定。関学は開設時期を29~31年ごろとしている。

 関西学院大は1889(明治22)年に創立。1929年に西宮・上ケ原に移転するまでの40年間、かつて「原田の森」と呼ばれた同公園一帯にキャンパスを置いていた。(金 旻革)

2023/6/29 15:36神戸新聞NEXT
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