東京都内で生活に困窮する人たちへの食料支援活動「フードバンク」を利用する人の中に、企業の正社員の姿が見られるようになっている。
豊島区で活動する支援団体の調査では、2022年秋以降、正社員の割合が2割程度になった。
非正規社員より賃金が高く、雇用が安定しているとされる正社員だが、物価上昇による実質賃金低下で、困窮する人が出ているものとみられる。

首都圏の学生らが運営する「フードバンクキャラバン」(冨永華衣(はなえ)代表)は21年9月に活動を始めた。豊島区を中心に米や野菜、生活用品を配布する。
新型コロナ禍で困窮する学生が利用者の中心とみていたが、実際にはシングルマザーや非正規で働く女性が利用していた。

 ◇正社員の割合 2割程度に
延べ7回開催する中で、アンケート調査を実施した。
22年4月には、170人の利用者のうち回答した158人では、非正規は53人、正社員は19人(残りは無職、自営業など)だった。
同年9月は回答した306人中、非正規は131人、正社員は68人となり、正社員の割合が2割を超えた。
この傾向は23年4月でも続き、回答者202人中、非正規92人、正社員47人だった。

今年4月の支援の際には、正社員の月給も調査。平均22万3000円、時給換算で約1400円だった。シングルマザーも多く、子供を育てながら生活するには、正社員の賃金でも足りない場合もあることが浮かび上がった。

 都内で活動する別の団体のスタッフも「スーツ姿など、あまり見たことがない人たちが利用し始めている」と話す。
新宿区の食料配布に並んでいた練馬区の男性(36)は、警備会社の正社員だ。「4月に賃金が3000円上がったが
手取りは月18万円で、物価上昇に全然追いついていない。ここでもらう食料で週末をやり過ごしている」

続きは毎日新聞 Yahooニュース
2023/07/08 13:15
https://news.yahoo.co.jp/articles/3026d04cc4b3a4510c9b6f9f0b92b8e9ec9f417e