財務省は31日、外国為替資金特別会計(外為特会)の2022年度の剰余金が、想定より多い3兆4758億円になったと発表した。
政府は外為特会を防衛費を増やすための財源の一つとしており、増税を先送りする代わりに剰余金の支出を増やす声が自民党で一層強まる可能性は大きい。
だが、外貨建ての剰余金を予算として使うには、国債の発行で円を調達せねばならず、借金も膨らみかねない。(桐山純平、山口哲人、佐藤裕介) 

◆米国債収入が円安で6400億円上振れ
 為替介入の外貨資産を管理する外為特会は米国債などを保有しており、利子収入で剰余金が生じる。
22年度の剰余金は当初、防衛費を増やすために使う1兆9000億円を含む2兆8350億円を見込んでいたが
円安を要因に6408億円増えた。

政府の計画では、外為特会の剰余金から防衛費増に回す額は
23年度の見込み額1兆2000億円も合わせ計3兆1000億円の予定。
自民党は6月、防衛費のための増税を見送る代わりに、剰余金をさらに使うよう提言をまとめた。
増税の24年からの実施は先送りが濃厚となっているが、剰余金が実際に増えたことを受け
ある自民党議員は「増税を回避することを視野に検討すべきだ」と強調する。

◆剰余金売却は「為替介入」
 だが、外貨建ての剰余金を、防衛費などの予算としてそのまま使うことはできない。
多額の外貨を売るのは為替介入とみなされるためで、国債の一種である政府短期証券をわざわざ発行して
円を調達する必要がある。外貨は売れないので外為特会の規模は膨らみ、借金も増える仕組みだ。

続きは東京新聞 2023/08/01
https://www.tokyo-np.co.jp/article/266871