東京電力福島第一原子力発電所の処理水の海洋放出計画をめぐり、ウィーンで開かれている核不拡散条約(NPT)再検討会議の第1回準備委員会で8日、多くの国々から意見が出た。欧米を中心に計画の妥当性を認めた国際原子力機関(IAEA)の見解を支持する声が相次いだ一方、中国は「核汚染水」と呼んで計画の中止を訴えた。

 中国は「核汚染水を意図的に海洋に放出する前例はない。一般的に許容される放出の基準もない」と指摘。「自国民と国際社会の正当な懸念を直視し、汚染水の放出の強行をやめるべきだ」と主張した。これに対し、日本は「いくら説明しても、中国は同じ政治的な主張を繰り返している」と批判した。

 豪州は、IAEAによる計画への助言を「独立した、公平で科学的な根拠に基づくもの」と評して「全面的に信頼する」と述べた。米英も、IAEAの役割を強調し、処理水放出に理解を示した。

 また、韓国も「IAEAの徹底した監視が、科学的かつ客観的な方法で、放出プロセスのあらゆる段階で実施されることを期待する」と述べ、計画を容認する姿勢を印象づけた。(ロンドン=金成隆一)

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