https://news.yahoo.co.jp/articles/2109d4a2e38367676ffc2c160352f33ae771634d
 ウクライナ空軍は1960年代に開発された古くて巨大なS-200地対空ミサイルシステムの一部を、地上攻撃兵器に転用した。
これはもはや秘密でもなんでもない。

謎なのは、ウクライナがS-200の8トンの5V28ブースト滑空ロケットを、いったいどうやって自国で最も強力な縦深攻撃兵器に改造したかだ。
あるミサイル専門家がこんな仮説を立てている。ウクライナの技術者は5Vs8の機首のレーダーを新しいシーカー(目標捜索装置)で置き換えたのではないか。
そのシーカーは新型地対地ミサイル「グロム(フリム)2」のレーダーかもしれないと。

以前ツイッターという名前だったSNSでそんな見解を披露したのはトレント・テレンコだ。
米国防総省の国防契約管理局(DCMA)で品質監査官を務めた経歴をもち、S-200や5Vs8ミサイルに精通した人物だ。
ちなみにS-200はもともと、旧ソ連の第1設計局が米軍の核搭載爆撃機を撃墜するために設計したものである。

グロム2は、ウクライナのユージュノエ設計局が既存のトーチカU弾道ミサイルに代わるものとして開発を続けてきた。
射程約500キロメートルの単段式固体燃料ロケットで、状況に合わせ、目標へ向かって飛行経路を正確に微調整できるミリ波レーダーを搭載する。
5V28には確かにグロム2のコンパクトなレーダーを収められる空間がある。
「(5V28は)ばかでかいミサイルで、非常に重くたっぷりとしたシーカースペースがある」とテレンコは説明している。
ミリ波レーダーに加え、さらに数百キログラムの爆薬も詰め込めるほどだという。

最新のシーカーとより重い弾頭を搭載すれば、ウクライナ空軍が2013年に退役させた旧式の5V28は強力な対地攻撃兵器になる。
射程は大方の情報源に従えば約400キロメートル、パニックになったロシア側プロパガンディストのいうとおりなら約600キロメートルにおよぶ。

■最高速度は音速の4倍、迎撃は容易ではない
いずれにせよ、5V28は占領下ウクライナ各地のロシア軍部隊はもちろん、ロシアの国内深くを脅かせるほどの射程がある。
実際、7月28日には、ウクライナとの国境から30キロメートルほどのロシア南部ロストフ州タガンログにあり、
ウクライナに対する爆撃の拠点になっている空軍基地に5V28が命中しかけている。
その3週間前には、ウクライナ国境から約180キロメートル離れたロシア南部ブリャンスク州にある工業用地が、5V28によって爆破された。

ロシア側はこれまで複数の5V28を撃墜したと主張しており、直近では8月12日に占領下ウクライナ南部クリミア半島の上空で撃ち落としたと発表している。
だが、これらの主張は信ぴょう性を疑われても仕方ない。ロシア側が迎撃した証拠として示している映像は説得力に欠けるからだ。
「ロシアは5V28ミサイルを撃墜したという主張を繰り返しているが、迎撃映像とされるものに、AK27F/TG02推進剤が燃えた時に出る
黒褐色の大きな煙が空に漂うなど、一目瞭然の証拠が映っている映像はない」とテレンコも指摘する。

実際のところ、ロシアが5V28を撃墜できていなくても、それは失態というわけではない。
5V28は最高速度がマッハ4(音速の4倍、時速約4900キロメートル)に達し、最大射程をたった5分で通過するので、
大半の防空システムにとって、飛来する5V28に迎撃ミサイルを命中させるのは容易でないのだ。

米国の最も優れた防空システムであっても、これほどの速さで移動するミサイルを撃ち落とすのにはちょっとした運も必要になる。
もっとも公平を期していうなら、ウクライナ空軍が運用する米国製パトリオットミサイルは、マッハ5(時速約6100キロメートル)以上で飛行すると言われる
ロシア軍のキンジャル極超音速ミサイルの迎撃に成功している。


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