「俺の先祖で三分の一、オランダ人の血が混じった人が居たらしい。
 戦国時代に堺の豪商だったか武将だったかで、その時にオランダ人と接点が。」
ダチがそう言い出したもんで、算数できねえわしらパニックで論争!

「三分の一って、両親で2・祖父母で4・その前の前で16人の先祖だよな?」
「三分の一って33.3…%だよな?偶数と混じって先祖になれるのか?公倍数?」
「いや!もしかすると、手癖の悪い野郎が居て、一世代すっとばして息子の嫁と!」
「なにその志賀直哉的なブンガクの世界?だかそれって一世代すっ飛んだのか??
 爺さんの両親は変わらず2人なんだから偶数の倍数の世界も変わらなくね?」
「まさか…誰かが自己増殖で次世代を?単一生殖で配偶者なしにッ!エイリアン!」
「それか!しかも手癖の悪いブンガクの登場人物的エイリアンだったらよォ…!」

そう言っている間に気がついたらダチは消えてた。自分の不注意な発言から逃走!
「そりゃいたたまれねえな?そんな暴露をしちまったら?宇宙人の先祖…なあ…」
「エイリアンならまだしも、地底人とか半魚人とか狼男だったら差別されるしな」
「宇宙人は差別されねえのか??」「宇宙船つくる科学力へのリスペクトで相殺でね?」
「まあ確かに獣人でウホウホ言ってたのが先祖だったら、エイリアンよりやだよなあ」
「そういえば野郎、たまにウホウホ言ってるぜ?嬉しいときとか飲みの席でさあ」

だが算数もなんもかんもできねえが心優しいおれたちゃ、決してその後も触れなかった。