九州電力は28日、太陽光の発電量が上向く昼間に電気を実質無料で提供する「タイムセール」を10〜11月に実施すると発表した。秋の九州では晴れた日に増えすぎた電力供給を抑えるために発電を止める「出力制御」が頻発している。天気予報に応じて日中の時間帯を指定し、電力需要の拡大や均等化を狙う。

 セールの対象は、同社のオール電化向け料金プラン契約者のうち、遠隔検針できるスマートメーターや、省エネ促進アプリ「九電eco」を利用する世帯。アプリで前日にタイムセールが告知され、利用を登録する必要がある。指定の時間帯に使った電気代相当分を、スマートフォン決済アプリ「PayPay」のポイントで還元する仕組みにした


 日照条件が良く太陽光発電が盛んな九州では、原発が安定的に稼働していることもあり、太陽光発電事業者に発電停止を求める「出力制御」が頻発している。電力の需要と供給のバランスが崩れると送配電設備が故障しかねないためだ。本州への送電線の容量も限られており、九州電力によると、2022年10〜11月は11回、今年4〜8月は54回実施された。

 今回の実質無料セールの対象は約12万世帯。日中に電力使用が移っても出力制御を回避するだけの需要の創出には届かない見通しだが、同社は「アプリの利用者を増やすとともに、需給に応じた電力利用を呼びかけ、将来的には出力制御を回避できるようにしたい」(担当者)としている。【久野洋】

毎日新聞 2023/9/28 18:24(最終更新 9/28 18:59) 604文字
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