岸田文雄首相が所得税の減税に向け動きだした。22日投開票の衆参2補欠選挙を前に、「減税カード」を切ることで、物価高に伴う国民負担の軽減に取り組む姿勢をアピールする思惑がある。ただ、自民党幹部に効果を疑問視する向きもあり、党内議論が紛糾する可能性もある。
 「『首相が言っているからそうなる』ではなく、党税調でしっかり議論したいと(首相に)申し上げた」。宮沢洋一税調会長は20日、首相から所得税を含めた減税措置の検討を指示された後、記者団にこう述べた。
 発端は9月26日に経済対策の策定を首相が関係閣僚に指示した際、「税収増を国民に還元する」と発言したこと。政府は臨時国会召集日を10月20日とし、首相の所信表明演説も同日に行うスケジュールを描いた。
 念頭にあったのは、首相の政権運営を左右する22日投開票の参院徳島・高知選挙区、衆院長崎4区の2補選。内閣支持率が低迷する中、「投開票日前に首相自ら『減税』を打ち出しアピールするのが狙いだった」と政府関係者は明かす。
 一方、「減税」の具体的な中身については「ガソリン税か所得税かそれ以外なのか、官邸内でもはっきりしなかった」(経済官庁幹部)。首相の意図が明確にならない中、与党内では所得税減税への期待が先行。「所得税を減税し、(給与の)手取りを増やすのも非常に有効だ」(自民党の世耕弘成参院幹事長)などの声が相次いだ。
 ◇「今回はまずい」
 所信表明演説は、野党の反発で23日にずれ込んだ。首相は自公両党への減税の検討指示を急きょ20日に設定。接戦が伝えられる補選をにらんだものだ。
 だが、自民執行部には「既成事実化」した所得税減税に異論も上がる。複数の関係者によると、首相が18日に開いた麻生太郎副総裁と党四役による「6者会合」では、「なぜ所得減税なのか」「効果は薄い」との意見が出たという。
 自公は来週前半にも税制調査会の会合をそれぞれ開き、議論を開始する。自民税調メンバーに内定しているベテランは、所得税減税について「低所得者への恩恵は低い」と批判的で、「税調内でも前向きな意見は少ない。今回はかなりまずいことになる」と早くも懸念を示した。

時事通信 2023年10月21日07時30分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023102001127&g=pol
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