最高裁の違憲判断を受け、国会では性同一性障害特例法の改正議論が始まる見通しだが、自民党の保守派が反発するのは必至だ。

 戸籍上の性別変更に生殖能力を失わせる手術などを求める特例法の手術要件をめぐっては、6月に発足した同党の「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」が維持を訴えてきた。議連はLGBT理解増進法への「国民の不安を取り除く」として、同党の国会議員と地方議員、各100人ほどが参加する。

 設立趣意書では、手術要件の撤廃で「『男性器のある法的女性』が出現するという今の日本では信じがたい状況が生じる。対応は急務」と強調した。最高裁の決定を控えた9月の声明でも「手術要件が違憲となれば、トイレ・更衣室・風呂・その他女性専用スペースの安心安全確保を行う上で、相当な困難が生ずる」と主張した。

 共同代表の山谷えり子参院議員は「(性別変更の要件から)手術をなくしたら混乱が起きる。理解増進法でも、全ての国民の安心に留意すると書かれているので問題ではないか」と語っていた。同じく共同代表の片山さつき参院議員は25日、記者団に「決定をよく読んでから、共同代表とも相談し、今後の対応を考えたい」と述べるにとどめた。

 最高裁は25日の決定で、卵巣や精巣の切除を求める「生殖不能要件」を違憲とする一方、変更する性別の性器に近い外観にする「外観要件」については判断せず、高裁に審理を差し戻した。男性から女性に移行するトランス女性は引き続き、性別変更のために陰茎切除が必要で、今回の決定で議連の言う「男性器のある法的女性」は生まれない。

「手術要件なくなっても浴場の利用ルール変わらず」
 仮に今後、外観要件について…(以下有料版で、残り1592文字)

朝日新聞 2023/10/25 21:22
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