元祖SNSのミクシィは今…「家族アルバム みてね」に注力する理由<じっくりトーク>
2023年10月29日 06時00分  東京新聞
https://www.tokyo-np.co.jp/article/286358?rct=economics


国産の交流サイト(SNS)の草分けとして2000年代後半に一世を風靡(ふうび)した「mixi(ミクシィ)」を立ち上げたIT大手のMIXI(渋谷区)。人気スマホゲーム「モンスターストライク」は立ち上げ10周年を迎え、プロサッカー「FC東京」の運営など手広く手がける中、写真や動画を家族内で共有できるアプリ「家族アルバム みてね」が子育て世代の間で人気を博す。少子化でも子ども向けアルバムに取り組む意義とは。ミクシィへ3回の入社試験を経て入社し、2018年からトップを務める木村弘毅社長(47)に、日本を取り巻くデジタル政策まで聞いた。(嶋村光希子)

◆親ばか発揮して

―「みてね」を開発した経緯は。

「みてね」は写真や3分以内の動画が容量無制限・無料で両親や祖父母らと共有できるサービス。国内外の1800万人が利用し、日本では生まれてくる子の約半数の親が利用している計算。

立ち上げにはMIXI創業者で会長の笠原健治氏のライフステージの変化があった。彼自身結婚して子どもを持ち、家族間の写真を安心で便利に共有できるサービスや場所が必要というニーズを感じた。

―立ち上げから成長を踏まえ、ヒットの要因は。

SNSがはやっているものの、常に付きまとうのがネット上の情報のセキュリティレベル。ネットに公開すると全世界に広まりデジタルで魚拓も取られてしまうという中で、子どもというセンシティブな写真を安心安全に保存、整理、共有し、コミュニケーションが取れるかは多くの人が抱える悩みだった。友人や仕事関係の人もつながるSNSで子の写真ばかり投稿して「KY(空気が読めない)」にならないかどうかも。「みてね」の中では思う存分親ばかを発揮してほしい。

競合の写真保存サービスの中では後発ではある。単純な保存サービスでなく、サーバー側に写真をアップしてそれを家族に見てもらうことで、コミュニケーションも生まれる。それこそ私たちが届けたかった新しい形だった。

◆家族守るサービスを

―日本国内は深刻な少子化だが、事業に取り組む意義は。

国内の出生率は下がるが、日本では1人あたりの子にかけられる予算は上昇している。一方、海外に目を向けるとインドなど高い国は多い。子の写真を共有したい家族間のコミュニケーションの市場性は非常に高い。現在は175の国・地域、7言語に対応している。

―基本の無料プランが充実しているが収益化の難しさは。

それほど危惧はしていない。ネットサービスは、ユーザーの会員数をまず増やすことが鉄板の戦術。SNSのmixiのときもそうだが、収益化は急がない。私たちのサービスはいったん使うとなかなかやめづらい特性がある。写真や年賀状のプリントなど付随する有料サービスを提供しているのに加え、家族間の安全安心領域にも投資を始めている。

具体的には子ども向け衛星利用測位システム(GPS)端末「みてね みまもりGPS」や、夜間も訪問診療できる「みてねコールドクター」を展開している。家族が抱えるさまざまな問題を解決できるサービスを届けたい。


※全文はリンク先で