厚生労働省は来年度から、65歳以上の人の介護保険料を、年間の合計所得410万円以上を目安に引き上げる検討に入った。現在は所得に応じて9段階に設定している保険料のうち、最上位の合計所得320万円以上を細分化して13段階に増やす。保険料の具体的な設定は各市町村が担うものの、高所得者の所得区分の目安を細分化することで応能負担をより進めたい考えだ。

 65歳以上の介護保険料は、介護サービス量などを基に各市町村が基準額(全国平均は月額6014円)を設定する。厚労省は現行制度で目安として9段階で設定しており、低所得者なら基準額より低くし、高所得者だと基準額より高い保険料になるようにしている。

 厚労省は今回、9段階目の合計所得320万円以上を再編し、新たに10~13段階を設ける。見直し例として「410万円以上」「500万円以上」「590万円以上」「680万円以上」を示した。保険料を算出するための乗数も現在の最大1・7倍から引き上げ、10~13段階では1・8~2・6倍とした。
 410万円以上の人であれば、基準額の全国平均で仮に計算すると、保険料は月額最大1万1426円になる。ただ、現行でも既に多くの自治体で国が示す9段階以上の区分を設けており、自治体によっては保険料が大きく変動しない可能性もある。

 一方、増収分で低所得者の保険料を軽減する。対象は世帯全員が住民税非課税となっている1300万人で、現在は基準額の0・3~0・7倍の保険料をさらに引き下げる。

 高齢者の増加により、介護保険料は今後も増加する見通しで、高所得者の負担増により、低所得者の保険料の伸びを抑えたい考えだ。【宇多川はるか】

毎日新聞 2023/11/2 18:31
https://mainichi.jp/articles/20231102/k00/00m/040/207000c