古今東西の哲学や歴史の深い教養に根を下ろしつつ、一流の社会理論に、膨大な実証研究やデータによる裏付けを用意し、重層的な論理で読者に迫りながら、巧みなレトリックによって飽きさせず、さらに説得力を増して訴えかけてくる。

しかし、上から見下ろすような傲慢な姿勢ではなく、読者と共に行動しようとする。そういう啓蒙の伝統が西洋のアカデミズムには、まだ残っているようである。本書でもまた、同じ感慨にとらわれて、思わず嘆息してしまった。

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