>>399
著者のジョエル・コトキンは都市研究の専門家であるが、都市とは時代を映し出す鏡のようなものなのかもしれない。ルイス・マンフォード、ジェイン・ジェイコブズ、より最近では、サスキア・サッセンなど、都市の変遷という視角から文明の本質に光を当てようとする研究は、いずれも総合的でダイナミックである。

特に、アメリカの都市研究には、優れたものが多い。ヨーロッパのような中世都市の伝統を持たず、共同体すら存在していない地に近代都市を建設していったアメリカにおいて、都市の持つ意味は格別に重大なものであった。アメリカにおける都市研究とは、社会学そのものだったのであろう。