保険料を米ドルなどで運用する「外貨建て保険」について、複数の地方銀行が窓口での販売や勧誘を自粛し始めた。元本割れリスクが小さくないことなどから、金融庁は地銀による外貨建て保険の販売態勢に懸念を強めている。販売自粛は、金融庁のこうした姿勢を意識した動きではないかとの見方が業界内にある。

 特定の金融商品について、銀行が自ら販売や勧誘を控えるのは異例だ。

 八十二銀行(長野市)は11月16日から、外貨建て保険の窓口での販売を自粛している。取材に対し「ほかの商品と比較してお客さまに提案できるよう、リスク、コスト、リターンの検討が必要と判断した」(企画部)と説明している。

 鹿児島銀行(鹿児島市)も外貨建て保険の勧誘を見合わせている。「より適切な勧誘ができるよう販売管理態勢強化を図っている」(経営企画部)という。

 外貨建て保険は、契約者が一括で払った保険料を、金利の高い通貨に換えて運用するもの。昨春から米国で利上げが進んだことで、ドル建て保険は利回りが大幅に上昇。契約者に約束した利回り(予定利率)が年4%台の商品もある。一方、日本銀行の低金利政策で、円建て保険は利回りが1%程度と低いままだ。

 昨年来、円安ドル高が進み、ドル建て商品の人気が高まったこともあり、金融機関は外貨建て保険の販売に力を入れた。金融庁によると、銀行窓口での販売額は2021年度下半期の0・7兆円から22年度上半期には1・2兆円に増えた。

 とりわけ販売に熱心なのが地…(以下有料版で,残り1048文字)

朝日新聞 2023年12月6日 6時00分
https://www.asahi.com/articles/ASRD563YBRCVULFA001.html?iref=comtop_7_05