※12/12(火) 10:55配信
デイリー新潮

 仕事柄、外国人と接する機会が少なくないが、みな一様に、日本の物価安への歓迎の弁を口にする。過去に訪日経験がある人は、以前の訪日時にくらべ、おのずと買い物の量も増えるようだ。しかし、日本に在住するわれわれ日本人は、物価高に日々あえいでいるのが現状である。これはなにを意味するのか。

 岸田文雄総理は11月2日の所信表明演説をはじめ、事あるごとに「経済」「経済」と強調し、「この政権はなによりも物価高対策、そして経済対策を重視している」と訴え続けている。そして、まずはそうした対策を盛り込んだという13兆2000億円もの補正予算案が、11月29日の参院本会議で可決された。

 そこには、住民税非課税世帯を対象に1世帯あたり7万円を給付するための1兆592億円や、電気やガス代の価格を抑制するための7948億円が盛り込まれている。いうまでもないが、補正予算の7割は国債でまかなわれる。すなわち、いまの物価高の影響を多少なりとも緩和するために、将来にツケを回して借金をするという話だ。

 さらに来年6月、1人あたり4万円の定額減税が実施される予定だが、いみじくも鈴木俊一財務相が、財源とされている税収増の分は「すでに使われている」と答弁しており、減税のために借金するという本末転倒が行われる可能性が濃厚である。

 いや、たとえ借金をしても、岸田総理がいうとおり、「来年の夏の段階で、賃上げと所得減税を合わせることで、国民所得の伸びが物価上昇を上回る状態」が、ほんとうに実現するならいい。しかし、現状では、その実現可能性はないに等しい。それは多額の借金をして莫大な金額を「物価高対策」に注ぎ込みながらも、物価高を引き 起こしている原因にはいっさいタッチせず、放置し続けているからにほかならない。

輸入大国ニッポンでは円安なら物価は高止まり
 物価高の原因。それはひとえに円安である。日本はわれわれの身の回りのあらゆるものが輸入製品で賄われている輸入大国なのだから、円安になれば物価は上昇する。きわめて単純な話なのだ。

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