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「腐敗」根拠の処分は45年適用なし
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 区保健所の店への聞き取り調査で、マフィンは販売前に常温で最大5日間、保管されていたことが判明。「納豆のような臭いがし、糸を引いていた」という購入者の証言もあり、腐っていた疑いがある。

 同法によれば、腐敗した食品を販売した場合についても行政処分を科すことができるが、区保健所は「『腐敗』の定義が法律上明確に定まっておらず、マフィンが腐敗していたことや健康被害がマフィンの腐敗によって起きたと断定するに至らなかった」と説明する。

 都によると、都内では1978年にいなりずしを食べて食中毒を起こした事例を最後に、食品の腐敗を理由とした行政処分は実施されていない。

「同じ事が起こりうる」
 食品衛生法に詳しい岩月泰頼弁護士によれば、「腐敗」とは一般的に、窒素を含む有機物が風通しの悪い場所で分解していく過程を指す。しかし客観的に食品のどのような状況が「腐敗」であるのか法律上では明確に示されていないといい、「わかりやすい基準が必要だ」と言う。

 岩月弁護士は、「体調不良を引き起こした原因が特定できなかったことは大きな問題だ」とも指摘。どのような製造過程で体に悪影響を及ぼすものが生じたのかがわからなければ、「また同じことが起こりうる」と懸念を示す。(福岡龍一郎、中野浩至)