終戦直後から存在した非合法な歓楽街「かんなみ新地」(兵庫県尼崎市神田南通)は、来年1月から建物の解体が始まり、姿を消すことになった。
かつて夕暮れとともにピンク色のネオンに照らされた妖しげな街は、若者向けのショップが並ぶ明るいエリアになる予定だ。(妻鹿国和)

●暗黙の了解
 エアコンの室外機がむき出しになった古びた木造長屋。今月中旬の午後、その近くにある道を、ランドセルを背負った子どもたちが元気いっぱいに走り抜けていった。

約50メートル西には小学校がある。近所の主婦(75)は「小さな子どもが多くいる地域で、なくなってくれて本当に良かった。市は土地建物の買い取りを進めて、一刻も早く解体してほしい」と話した。

尼崎市によると、旧かんなみ新地は、阪神出屋敷駅近くの674平方メートルに、木造建物が並ぶ一帯。
1950年頃から非合法な風俗営業が始まり、58年の売春防止法の完全施行後は、飲食店で出会った従業員と
客が恋に落ちるという建前で、長い間「暗黙の了解」の行為とされてきた。

 周辺住民らによると、夜になると、県外ナンバーの車が狭い道を走り抜けていたほか、男性客らが
店内にいる若い女性を値踏みするかのように、うろつく姿が多く見られたという。

 2006年に開催された「のじぎく兵庫国体」の際には、市や県警が取り締まりを強化したこともあったが
店を単体で摘発しても、すぐに営業を再開するという状況が繰り返されてきた。

続きは読売新聞 2023/12/22
https://www.yomiuri.co.jp/national/20231221-OYT1T50348/