https://news.yahoo.co.jp/articles/529e6c119e8e1adce0ca987aa46ef220cd374abc
 能登半島地震の現場を2日朝、朝日新聞社機で上空から見た。
街は火災で焼き尽くされ、建物は倒壊。山は崩れ、港では船が転覆し、被害の甚大さがうかがわれた。

【写真】港に打ち上げられた船舶=2024年1月2日午前9時13分、石川県珠洲市、朝日新聞社機から、嶋田達也撮影
https://www.asahi.com/articles/photo/AS20240102000792.html

東京・羽田空港から北へ約300キロ。
震度7を記録した能登半島西岸の石川県輪島市上空で、高度約700メートルから見ると、日本海の海面は土砂により赤茶色に濁り、港町は火災による白煙で覆われていた。
地震直後に大規模な火災が起きた輪島港近くの観光名所「輪島朝市」では、オレンジ色の炎がうっすらと見えた。
約500メートル四方が焼き尽くされており、街から立体感が失われていた。白煙は沖に向かって10キロほど尾のように伸びていた。

海岸線から内陸に約250メートルほどの位置では、7階建てのビルが根元から倒壊していた。
倒れたビルは道路の一部をふさぎ、周辺の建物に覆いかぶさっているようだった。建物の壁は壊れ、骨組みがむき出しになっていた。
後方に広がる深緑色の山々には、積雪の白色に、土砂崩れによってできた茶色の筋が入っていた。
山肌近くの道路やグラウンドは地割れを起こし、トンネルは土砂崩れによって出入り口がふさがっていた。
山々の近くには倒壊した寺も見えた。墓石とみられる石材が散乱していた。

輪島市から東に約35キロ離れ、震源により近い半島東岸の珠洲市。
昨年5月の地震でも被害が大きかった地域だ。屋根瓦が落ちたのか、木材がむき出しになった民家が数十軒見えた。
同市役所から南西約4キロに位置する観光名所「見附島」は、特徴的な切り立った小島の側面の一部が崩れ、茶色い土砂が海面に広がっていた。

沿岸では、民家が土台だけを残してそっくりなくなっていた。
津波なのか、濁流に流されており、数十メートル離れた内陸に押し込まれているようだった。

川や港の湾内の入り口は濁流で褐色に染まり、湾内では複数の船が転覆していた。
赤や白の船底が仰向けになり、別の船は陸揚げされ横倒しになっていた。近くには漂流している船も幾つかあった。
半島を南北に走るのと里山海道には大きな陥没が見えた。能登空港の周辺では、車の渋滞の長い列ができていた。