>>908つづき

>例えば、1941年12月7日(現地時間)の真珠湾攻撃の1週間後、アメリカに
宣戦布告をしたヒトラーの演説は「最後の勝利確信 人類の敵 米の野望」
(読売新聞1941年12月13日)と大きく報じられ、多くの日本人の留意を下げた。
その一部を抜粋しよう。

日本人を奮い立たせたヒトラーの演説

「ドイツ国民は日本がこの人道をはづれたアメリカに敢然抗議した最初の国家として
日本に對し最上の尊敬の念を捧げざるを得ない」
「われわれと日本が同盟関係をもつていなかつたとしたならばルーズヴェルトとユダヤ人が
各國を次々と滅亡して行ったであらう」

ヒトラーは今回の戦争の火付け役は、ヨーロッパの紛争に介入してきた米ルーズベルト
大統領だと指摘、「精神錯乱に陥っている」「詐欺と搾取の世界」をつくり上げていると
痛烈に批判して、そんな「人類の敵」にはじめて立ち向かった日本を大絶賛しているのだ。

ご存知のように、日本人は外国人に褒められると弱い。ドイツの英雄から「日本スゴイ」と
持ち上げられたことで、当時の日本は「今こそ同盟国との連帯強化だ」「聖戦完遂」の
大合唱がおこった。そして、大人から子どもまで、人類の敵・ルーズベルトを叩きのめす
「正義」にのぼせ上がった。

「日本人は軍に脅されて嫌々戦争をしました」と信じて疑わない人たちにはなかなか
受け入れ難い現実だが、当時の日本人はオリンピックで日本人が金メダルを取るのと
同じような歓喜と熱狂の中で、多くの国民が「正義の戦い」にのめり込んでいたのである。