スイスはその美しい景観をもって世界有数の観光国家だといえよう。
しかし、そのスイスといえども山と湖の美しさだけであって、日本のような
山あり、湖あり、川あり、海あり、島ありというような景観には恵まれていない。
まして、日本はそれに加えて四季の変化がある。

もし、その千変万化、美しい自然の開発整備に成功すれば、日本こそは
世界の国々の人びとが、その景観美を満喫するために訪れるにふさわしい国になるだろう。

考え方によっては、日本は世界中で一番価値の高い観光資源に恵まれているといえよう。
しかもこの資源は、鉄鉱石や石油などの天然資源とちがって、いくら使っても減る心配もない。
それどころか、その開発整備の仕方いかんによっては、一層価値の高いものとなり、
また無限に開発の続けられる資源でもある。

 松下幸之助