「金鳥(キンチョウ)」ブランドで知られる大日本除虫菊(大阪市)は19日、蚊取り剤「シンカトリ」を発売すると発表した。従来製品のように火や電源は不要で、部屋に置くだけで効果があるという。新しいタイプの蚊取り剤は2010年発売のワンプッシュ式エアゾール「蚊がいなくなるスプレー」以来14年ぶりだ。

同日から出荷を始め、順次全国のドラッグストアなどに並ぶ。店頭での想定価格は200日用が1380円、120日用が1180円。取り換え用カートリッジも販売する。

現在、多くの家庭で使われている「水性キンチョウリキッド」などの液体電子蚊取りは、液体の温度を電力で上げることで気体にする仕組みだ。そのため機器の上部が熱くなるほか、コンセントにつなぐと子どもやペットが足を引っかけやすいので、置き場所を選ぶという声が上がっていた。

開発のヒントになったのは空間用虫よけ「虫コナーズ」だ。樹脂に練りこんだ薬剤を空間に散布する技術で虫が近づくのを防いでいる。この技術を殺虫剤にも使えるよう応用した。

「究極と言える蚊取り剤なのでは」。大日本除虫菊マーケティング部の奥平亮太課長は胸を張る。シンカトリは開閉するシャッターのような構造が特徴で、切り替えは容器を逆さまにするだけで済む。開くとカートリッジから少しずつ薬剤が拡散する。

奥平氏は「業界でこれだけ新しい商品はなく、流通からの期待も大きい。殺虫剤に新しいカテゴリーをつくり、市場を広げたい」と意気込む。

日本経済新聞
2024年2月19日 18:00
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF1542S0V10C24A2000000/