※2/18(日) 11:00配信
Forbes JAPAN

3年間で7兆ドル(約1050兆円)もの時価総額が失われた中国の株価暴落について、エコノミストたちはその途方もなさをどう説明したものやら頭を悩ませている。中国の株式市場は2021年以降、日本とフランスの国内総生産(GDP)の合計に匹敵する時価総額を失ったと言えば、規模の大きさが最もよく伝わるだろうか。

とはいえ、アジア最大の経済大国から伝わってきた最悪のニュースは、他にある。中国のデフレが過去数十年で最速のペースで進んでいるという話ではない。大手不動産会社の中国恒大集団に香港で清算命令が出されたという件でもない。最悪のニュースは、まさに中国に関する「悪いニュース」に対して、中国の習近平指導部が戦いを本格化させたらしいことだ。

報道によれば、中国の主要な情報機関である国家安全省は最近、中国経済や市場の見通しに関して批判的な見解を広める者を見張っていると明らかにした。「虚偽の言説」によって「中国経済をおとしめる」言動をするな、という背筋の寒くなるような警告は、アダム・スミスに始まる近代経済理論とはかけ離れた毛沢東的な発想だ。そしてこれは、中国の影響力が高まるなかで非常に厄介な問題を引き起こしている。

国家安全省は「経済宣伝と世論誘導を強化する」と公言した。だが、本当に気がかりな問題は、具体的にどのような行為が取り締まりの対象になるのかという、発表文の「行間」に隠された部分だ。

ブルームバーグ通信は1月、米金融大手のシティグループが中国本土を訪れるプライベートバンカーたちに、人民元やその為替ヘッジ戦略について話さないよう指示していると報じた。また、習主席の強い意向を受けた香港政府は先ごろ「国家安全条例」の制定手続きを開始すると発表した。香港の憲法にあたる香港基本法23条に基づくこの法令は、中国共産党が20年前から香港に押し付けようとしてきたものである。

あいまいな条文の国家安全条例は、かつて「アジアのロンドン」と呼ばれた香港で、中国本土と同様に、政府が国家にとって危険とみなした情報を統制するのが狙いだ。香港の法令としては、2019年に起きた大規模抗議行動を受けて翌20年に施行された香港国家安全維持法(国安法)を補完するものになる。

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