乗客が前腕切断、轢いた電車は次駅へ 運転士車掌駅員は気づかず
東京メトロ半蔵門線「住吉駅」でホームから転落、5分以上放置
2023/09/26 00:15
https://www.mynewsjapan.com/reports/4626

(略)

実際に、それと同じ状況に陥ってしまったのが、東京都在住の大泉紘一氏(仮名・当時64歳)である。

 ホームから転落し5分以上放置、右前腕を切断

大泉氏は、忘年会帰りの2016年12月27日午前0時6分台に、東京メトロ半蔵門線「住吉駅」ホームから転落、気を失ったまま5分以上発見されず、入線した電車に轢かれて右前腕を切断され、3か月の重傷を負ってしまった。
しかも、大泉氏を轢いた電車は、そのまま次の駅に向かって進行し、立ち去ってしまったのだ。
数ある鉄道人身事故でも、レアなケースではないのか。第一に、田舎の無人駅などではなく東京の地下鉄駅で、乗客が線路から転落して5分強も、駅員にも、ほかの乗客にも、発見されずにいたこと。
第二に、腕を切断した電車が、そのまま次の駅に向かっては運行してしまったことである。言ってみれば、ひき逃げの様な形。まさに前代未聞の事故ではないのか。
この不可解な二点が、筆者がこの鉄道事故に関心を持った原因である。

 電動義手だが、文字も書けず

都内の駅で待ち合わせ、近くの喫茶店で話を聞いた。大泉氏の右腕は、義手だ。
「動くんですか?」
「ええ、電動式なのでほんの少し動きます」
肘から下の部分をゆっくりと動かすことはできるようだ。大泉氏は、水の入ったグラスをつかむ仕草をする。が、水の入ったグラスは、持つのは危ないし、ペンで文字を書くこともできない。
一生、電動義手を装着することになり、大泉氏が失ったものは大きい。
「とにかく、東京メトロには隠蔽体質を感じます。たとえばここに『安全報告書2017』というものがあり、事故の報告が書かれています。
でも、事故の例としてベビーカーを持つ女性のドアへのひっかかりが書かれていて、私の事故は、鉄道人身傷害事故13件という数字の中に入れてあるだけです。
腕を切断された私の事故が、報告されていません。こういうところに、隠蔽したいという東京メトロの本心を、私は感じてしまうのです」

(略)