※2024年4月9日 06時00分
東京新聞

 東京都小金井市の前市長による市立保育園廃止条例の専決処分を「違法」と判断した東京地裁判決を巡り、その後の市の対応が波紋を広げている。判決は確定したが、市は条例をそのまま運用。新年度の4月を迎え、廃止対象の市立さくら保育園などの園児募集が再開されない事態となり、廃園に反対する保護者らが反発している。

 小金井市の市立保育園廃園問題 老朽化などを理由に、市立保育園5園のうち2園を廃止する計画。2022年9月、市が廃止条例案を市議会に提出。市議会の委員会が条例案を継続審議としたため、当時の西岡真一郎市長が議会の議決を経ない専決処分で改正した。西岡市長はその後に辞職。直後の市長選で当選した白井亨市長は22年12月、廃園条例を元に戻す議案を市議会に提出したが、市議会は議論が煮詰まっていないなどとして反対多数で否決した。2園では23年以降、段階的に園児の募集が停止されている。

◆市の見解「判決の効力及ぶのは原告だけ」

 「われわれは条例が無効であるという立場に立っていない」。3月下旬、小金井市の白井亨市長は市議会の予算特別委員会で、条例が今も有効との見解を強調した。

 市側は判決について「効力が及ぶのは(入園不許可処分の取り消しを命じられた)原告に対してのみ」と主張。原告の子どもについてはさくら保育園への入園を認める一方、判決によって条例自体が無効になるわけではないとして、現時点では園児の募集は再開しない方針だ。さくら保育園は当面、現在受け入れている園児らと、今後に入園する原告の子どもだけで運営することになる。

 この問題を巡っては、西岡真一郎前市長が2022年9月、市立保育園2園を廃止する条例改正を専決処分で実施。子どもを入所させたいと考えていた母親が入園不許可処分の取り消しなどを求めて提訴した。東京地裁が今年2月の判決で「専決処分は違法」「条例改正は無効」と言い渡し、市は控訴せずに確定した。ただ、市は保育士不足などを理由に、廃園を撤回することは現実的に難しいとの立場だ。

◆識者「違法とされた条例を見直すのが筋」

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