中国のメーカーがソーラーパネルの世界的な供給過剰を引き起こしている。

ソーラーパネルがあまりに安くなったため、中にはフェンスとして使う人もいる。

アメリカのイエレン財務長官は4月4日からの中国訪問で、こうした問題について議論することにしている。

中国のメーカーがソーラーパネルを大量に生産した結果、世界的な供給過剰が価格を暴落させている。

ソーラーパネル ── その80%は中国製 ── があまりに安いため、ドイツやオランダでは庭のフェンスとして使われていると、フィナンシャル・タイムズが先週報じた。

ソーラーパネルは通常、太陽光を最も多く取り込める屋根に設置されるが、供給量があまりに多いため、この2つの国ではフェンスとして設置している。そうすることで、屋根に設置するのにかかる高価な人件費や足場を組むのにかかる費用も節約できるという。

ソーラーパネルのフェンスはイギリスや北米、オーストラリアでも増え始めている。

国際エネルギー機関(IEA)が1月に発表した報告書によると、ソーラーパネルの世界的な供給量は2024年末までに1100ギガワットと、需要の3倍に達すると見られている。

スポット市場の価格は2023年にすでに半値に下落していて、2028年までにさらに40%下落する可能性があるという。

中国のソーラーパネル市場は現在、供給過剰の状態にあるため、アメリカやヨーロッパなど他国のメーカーは効果的な競争ができなくなっている。

4月4日から中国を訪れているアメリカのイエレン財務長官は、安価な中国製ソーラーパネルの供給過剰を問題視している。イエレン財務長官の訪中は9日までの予定で、ここ1年で2度目だ。

「今回の訪中で、イエレン長官は不公正な貿易慣行について中国側に圧力をかけたり、中国の過剰な工業生産能力が世界経済に及ぼす影響を強調するなどして、アメリカの労働者や企業が公正に扱われるよう主張する」とアメリカ財務省は長官の訪中を発表したプレスリリースの中で述べている。

イエレン長官は3月下旬、アメリカのジョージア州にあるサニバ(Suniva)社の太陽電池工場で、自分は太陽光発電や電気自動車、リチウムイオン電池といった新エネルギー産業に打撃を与えている「中国の過剰生産能力の世界的な波及効果を懸念している」と語った。

中国政府は太陽光発電、電気自動車、リチウムイオン電池の「新三大産業」を推進し、経済をけん引しようとしている。債務危機に陥っている不動産産業への依存から脱却しようと苦しんでいる。

イエレン長官は「中国の過剰生産能力は世界の価格と生産パターンを歪め、アメリカの企業と労働者そして世界中の企業と労働者を苦しめている」として、今回の訪中で過剰生産能力の問題を取り上げると付け加えた。

その上で「過剰な生産能力はアメリカの労働者と企業、そして世界経済だけでなく、中国経済の生産性と成長にもリスクをもたらすというわたしの信念を伝える」とイエレン長官は述べた。

中国のメーカーも焦りを感じている。

世界最大の太陽電池メーカーである隆基緑能科技(ロンジ)は先月、従業員数千人をレイオフすると発表した。

https://news.yahoo.co.jp/articles/43fc56e65c438a6aa08d2a1c27b07848043f554f