★NATO:特殊部隊設立など制定へ ロシア新戦術対抗策
http://mainichi.jp/select/news/20140831k0000m030112000c.html
毎日新聞 2014年08月31日 07時30分(最終更新 08月31日 11時31分)

 【ブリュッセル斎藤義彦】ロシアがウクライナ・クリミア半島を編入した際、
特殊部隊の投入と同時に、宣伝戦を展開して一方的に独立させた新たな戦術
に対抗するため、北大西洋条約機構(NATO)は今週開く首脳会議で、特殊
部隊の編成などを盛り込んだ対抗策制定を検討することで合意することがわか
った。NATO高官が毎日新聞に明らかにした。NATOの「即応部隊」内に
特殊部隊を組織して対処する案が有力。加盟国には少数派のロシア系住民を抱
えるバルト3国があり早急に体制を整える。

ロシアは今春、ウクライナ・クリミア半島に記章を付けない特殊部隊を展開
し、官庁や空港など重要拠点を占拠。親露派に主導させ住民投票を実施したう
えで編入した。同時にロシア語放送などでウクライナ政府を「ファシスト」な
どと宣伝し、住民を不安にさせる宣伝戦を行った。NATOはこうした新たな
作戦を「ハイブリッド攻撃」と位置づけている。

来月4日から2日間の日程で開催予定の首脳会議では、ロシアの「ハイブリ
ッド攻撃」に対し、NATO側の準備が整っていないことを確認。各国の警察、
治安・情報機関のほか、国際機関といかに協力して対抗するか基本手順を決
めることで合意する。NATOの「即応部隊」内に新たに創設予定の「速攻部
隊(仮称)」とは別に特殊部隊を設立し、「ハイブリッド攻撃」に対抗する案
が有力だ。具体策は今後、国防相会議などで詰める。

ロシアはウクライナの国境付近に2万〜4万人の正規軍を展開。軍事的圧力
をかけて「ハイブリッド攻撃」を支えた。NATOの正規軍の支援展開も課題になる。

 ロシアはウクライナ東部で現在、大量の民兵を送り込みウクライナ政府軍と
軍事衝突が起きている。NATO側はバルト3国のほか、ウクライナ東部の情
勢も念頭に置いているとみられる。