終わりの見えない物価高が、とりわけ生活保護の受給世帯に大きな打撃を与えている。弁護士の試算によると、受給者の生活費を賄う「生活扶助」からの支出品目に限った物価上昇率は4年で12%に達し、全国の消費者物価指数(CPI)の同期平均8.5%を大きく上回った。政府は生活扶助に対して、現行の特例加算の月1000円に今年10月からは500円を上乗せするが、支給額が物価上昇に追いついていない。(高田みのり)

◆「4年で12%以上アップ」の試算
4月の都区部の平均小売価格が4770円(5キログラム)で過去最高となったコメをはじめ、物価高の勢いは衰えていない。2020年を100として物価の変動を数値化したCPIは、2024年に平均108.5となり、4年で8.5%上昇した。

対象を生活保護世帯に限ると、物価変動はさらに大きくなるという。受給者を支援している高木健康弁護士の試算によると、受給者が日常生活費「生活扶助」から賄う品目に限った同時期の物価上昇率は、受給者2人以上世帯で12.2%、同単身世帯で12.5%だった。高木氏は「低所得者になるほど物価高騰の影響を強く受けている」と指摘する。

◆加算されても支給額が増えない例も
 生活扶助の支給額は、国が設定する「生活扶助基準」から算出される。扶助基準は一般低所得者の消費実態をもとに、受給者の居住地や年齢などに応じて設定され、5年ごとに見直されてきた。2023年度の見直しから、コロナ禍や物価高を受けた特例として、1人あたり月1000円を加算。ただ、長期にわたり物の値段が上がり続ける中で、大幅な増額は実現していない。

東京新聞 2025/05/16
https://www.tokyo-np.co.jp/article/405063