0001オムコシ ★
2015/09/01(火) 22:50:18.92ID:???*2015年8月28日 16時30分
今季のドラマでもっとも注目すべき作品は、やはり『ど根性ガエル』(日本テレビ系列/土曜21時)でしょう。
70〜80年代にマンガやアニメで親しまれたこの作品は、中学生のひろしとTシャツに張り付いた平面ガエル・ぴょん吉を描いたドタバタコメディでした。
ドラマの舞台はその16年後。
ひろし(松山ケンイチ)は30歳のニートとなり、ぴょん吉にも寿命が迫っています。
しかし、アニメと同様に彼らはあいも変わらず過ごしています。それは周囲のひとびとも同様です。
寿司屋の梅さん(光石研)やよし子先生(白羽ゆり)、町田先生(でんでん)、そして五郎(勝地涼)は、歳はとったものの口調や行動はアニメそのまま。
この世界はむかしのままの“お約束空間”なのです。
一方で、変化が見られる人物もふたりいます。ひとりが、パン屋を経営するゴリライモ(新井浩文)。
むかしの乱暴な振る舞いは消え、淡々とした大人になっています。そしてもうひとりが、ひろしのガールフレンドだった京子ちゃん(前田敦子)。
バツイチとなって町に戻ってきた彼女からむかしの明るさは影を潜め、素っ気ない態度でひろしに接します。
そうしたこのドラマのテーマは、ざっくり言えば「フィクションと現実」、あるいは「キャラクターと人間」です。
アニメキャラのままのひろしはぴょん吉とともにフィクションの世界を生き続けようとするのに対し、大人(人間)になったゴリライモや京子ちゃんはシビアな現実を生きています。
さらに、ぴょん吉にも寿命が迫っていることも暗示され、エンディングではぴょん吉のいない世界をひろしがとぼとぼと歩いています。
“お約束空間”では死なないはずのキャラクター・ぴょん吉が、現実では死ぬかもしれない――マンガやドラマ、
映画などで幾度となく変奏されてきたこの問いは、「アトムの命題」と呼ばれます(※1)。
ドラマ『ど根性ガエル』は、それに正面から答えようともしているのです。
このドラマの脚本家である岡田惠和と日本テレビ・河野英裕プロデューサーは、
2年前にも同枠の『泣くな、はらちゃん』でこの「アトムの命題」にひとつの回答を導いたことがありますが、
『ど根性ガエル』はテーマ的にその続編とも言えるような作品でしょう。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/soichiromatsutani/20150828-00048784/