山田 俊浩 :東洋経済オンライン編集長

連載「貧困に喘ぐ女性の現実」を開始してちょうど1年を迎える。記事内で貧困に苦しむ女性を募集し、一人の女性を取材してルポをするという形を取っている。
「作り話ではないか」「話の内容を盛っているのではないか」というコメントが多く見られる当連載だが、もちろんそんなことはしていない。取材の舞台裏とネガティブな書き込みが多い理由について筆者の中村淳彦氏と編集担当(高部知子)と一緒に考えた。

■想定どおりのネガティブ反応

山田:「貧困に喘ぐ女性の現実」の連載を開始してから1年が経過しました。この連載は、一般論を書いたり、あるべき論を述べるというものではなく、毎回、たった一人の女性に焦点を当てて徹底的にその現実を読み切りで報じる企画で、東洋経済オンラインの看板連載の1つといえます。

これまでに19人を取材していただきました(連載全体では21人。開始時の2人は中村氏の書籍『熟年売春』からの転載)。その内容は衝撃的なものばかり。あまりにも衝撃的なので、それを現実と思えない読者は「フィクションだ」というふうに考えるようで、実際にコメント欄にはそうした書き込みや反応が非常に多い。

しかし、私は中村さんの取材プロセスをすべて見ている立場なので、「本人が特定されないための工夫をしているだけで、すべて現実です」と言い切れる。給与明細などの書類や身分証明証などもできるかぎりチェックして「ウソ」が入りにくいようにしています。今回、そうしたことも含めて読者の皆さんにきちんと説明しようと考えています。

中村:中流以上の男性からの「作り話を書きやがって」というネガティブ反応は想定していました。多くの男性は女性に幻想がありますから。登場するのは普通の女性で、私にとって新しい取材対象でした。女性の貧困というテーマを与えられて、結局特殊なケースが多い僕が得意とする下層風俗店や売春女性から取材対象を見つけるのではなく、東洋経済オンライン読者からの相談を受け付けて、そこから取材することになった。下層、最下層の女性はニュースサイトを見ません。基本的に高校や大学を卒業して、社会に出て結婚出産した普通の女性が登場しています。(中略)

■「底辺の世界」で競争が始まった

山田:普通の女性が衝撃的な貧困状態に陥っている。

中村:僕は、裸になる女性や売春する女性の取材をずっとしているライターです。そこで感じているのは、裸の女性たちの境遇は時代を5〜7年先取りしていること。裸の仕事は女性の最終手段で経済的なセーフティネットだったのですが、まずい状況になっていると最初に感じたのは2007年あたりのリーマンショック前です。

まずAVにいくら出演しても借金が返せないケースを聞いて、「ええ?」と思った。それまでは腹をくくってAV出演すれば、ある程度の借金は返済することができましたから。

普通の女の子が裸の世界に続々足を踏み入れるようになったのも、同じ頃です。それまでは裸の仕事をする理由を聞けば、ある程度理由がつかめた。すごく不幸な育ちだったり、ダラしなかったり、消費過剰だったりした。それが2000年代半ばあたりから少しずつ普通の子が現れ始めて、2007年あたりにはその傾向が明白になった。

つまり普通の子が裸になるようになって、セーフティネットだった底辺の世界で競争が始まった。そうなると1人あたりの稼ぎは減る。それどころかちょっと難のある裸の世界に救われていた層は、月収20万円年収換算で240万円のラインを割ってきて、裸になっても食べていけなくなってしまった。そうすると生活保護を受けるようになっていく。地盤沈下が起きてしまったのです。

(以下省略)

開始してから1年が経つ、好評連載「貧困に喘ぐ女性の現実」。
ライター中村淳彦氏(左)と山田俊浩編集長で振り返る(写真:編集部)
http://tk.ismcdn.jp/mwimgs/5/7/-/img_5746b775e9a92bfe0d83a62fa12acd62145315.jpg
取材には編集部の高部知子(左)も同行。話を聞くうちに涙することも多いという(撮影:編集部)
http://tk.ismcdn.jp/mwimgs/4/6/600/img_463a5c181e651444e2c45ad95ce11643124536.jpg
http://toyokeizai.net/articles/-/167487

★1の立った日時:2017/04/14(金) 08:12:16.10
前スレ https://asahi.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1492134660/