国天然記念物「奈良のシカ」を交通事故から守ろうと、奈良県はGPS(全地球測位システム)機器による行動調査を始めた。
GPSを装着した雌3頭の動きを1年間記録し、交通量の多い車道を横断しているかなどを確認して事故防止策の検討など保護施策に役立てる。

保護団体「奈良の鹿愛護会」の頭数調査(昨年7月)によると、奈良公園周辺に鹿は1455頭生息。交通事故は年間131件(一昨年7月〜昨年7月)発生し、81頭が死んだ。
一方で農作物被害も深刻で、奈良県は奈良公園から同心円状に「重点保護地区」「準重点保護地区」「保護管理地区」「管理地区」に分け、エリアごとに保護と頭数管理を使い分けている。

今回は観光客に親しまれている奈良公園(重点保護地区)の鹿の行動を調査。雌の成獣3頭の首に重さ500グラムのGPSを装着した。
雌を選んだのは雄に比べて比較的行動範囲が狭く、行動パターンを把握しやすいためで、今後は雄の調査も検討する。

結果は2018年度にも策定する保護管理計画に反映させる。
奈良県奈良公園室は「季節ごとの鹿の行動を細かく記録し、事故の未然防止に役立てたい」と話している。【皆木成実】

配信 2017年4月25日 10時10分

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https://mainichi.jp/articles/20170425/k00/00e/040/185000c