東京都心の千代田、中央、港の三区で人口が増え続けている。都全体の人口が減少に転じると推計される二〇二五年以降も、三区は四〇年ごろまで増える見通しだ。
マンションの建設ラッシュに加え、交通の便の良さなどにひかれて子育て世代や高齢者が流入しているためだが、将来は保育や介護の負担が自治体にのしかかる恐れもある。

「交通機関が発達し、夫の通勤にも便利で住みやすい」。東京タワーに近い港区のマンションに住む会社員神野(かんの)栄美子さん(42)はそう話す。
兵庫県出身で、以前は神奈川県に住んでいたが、結婚をきっかけに四年前に移り住んだ。各国の大使館が多く、国際色豊かな地域性も魅力で「一歳の長男の子育て環境はいい」と満足そうだ。

三区は高度成長期やバブル期の地価高騰で人口が郊外に流れたが、一九九〇年代後半から回復。港区は今年二月、住民基本台帳上の人口が五十四年ぶりに二十五万人を突破した。
臨海部などに建設が相次いでいる高層マンションは子育て世代に人気。
「一人の女性が生涯に産む子どもの数」を推定する指標となる合計特殊出生率は二〇一五年に一・四四と二十三区トップだった。

国会議事堂や霞が関を有する千代田区は八一年以来となる六万人超えに。銀座や築地市場がある中央区も一時は七万人台まで減ったものの、十五万人まで回復している。
都の担当者は「バブル崩壊後は都心回帰の傾向にあり、オフィス中心の三区でも再開発が進んだ」と指摘。東日本大震災以降は、災害時に歩いて帰宅できるよう職住近接の意識の高まりも考えられるという。

都の国勢調査に基づく推計では、都全体の人口は二五年の千三百九十八万人をピークに減少に転じるが、三区は人口増が続く。
四〇年には今年一月時点より四割近く多い計約六十三万五千人に達する。

東京一極集中の半面で、近隣の県では若者の流出が深刻だ。前橋市や甲府市といった県庁所在地でも人口が減少。静岡市は四月一日現在の推計が七十万人を割り込んだ。

ただ、都心三区も課題に直面する。港区は四月一日時点で、認可保育所などに入れない待機児童の数が昨年の二・五倍に増えた。区の職員は「うれしい悲鳴だが、一番の課題」と打ち明ける。

都の担当者によると、高齢世帯が地方や郊外の一戸建てから、利便性が高く管理が行き届いた都心のマンションに移り住むケースもある。
今後、独居や老老介護の世帯が増えれば、民生委員らの見守りが必要になる。

担当者は「出入り口がオートロックの高層マンションでは、民生委員が高齢者宅をのぞいて声を掛けるといった従来の見守りは難しい。
災害でエレベーターが停止した場合などの支援も必要だ」と話した。

子育て世代に人気の高層マンション=4月、東京都港区で
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201705/images/PK2017051302100202_size0.jpg

配信 2017年5月13日 夕刊

東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201705/CK2017051302000265.html

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