<ウサギの楽園>として人気を呼ぶ広島県竹原市忠海町の大久野島を2016年に訪れた観光客は、約37万7000人で前年の1・5倍、3年間で3倍に増えたことが、市の調査でわかった。

 一方で市全体では、竹原を舞台にしたアニメ「たまゆら」やNHK連続テレビ小説「マッサン」が終了し、過去最多の前年から減少に転じた。市などは過熱するウサギ人気を他地区の底上げにつなげようとしている。

 約700匹のウサギが暮らす大久野島の観光客数は、13年が約12万5600人だったが、インターネットに掲載された動画などが国内外で注目を集め、15年は約25万4200人に倍増。16年はさらに48%伸び、市内の地区別で最多となった。外国人は約1万8200人で、3年前(378人)の48倍に急増した。

 これまで同市で最も人気のあった観光スポットは、中心部の「町並み保存地区」だった。江戸〜昭和時代の町家が残り、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定され、ドラマとアニメの舞台となり、15年には最多の54万4300人が訪れた。

 しかし、同年春に「マッサン」の放映が終了。16年には「たまゆら」も完結したことから、観光客数は約37万4400人で17万人(31%)も減った。市全体でも前年から約5万人減り、126万6000人だった。

 大久野島の観光客の多くは市内の他のスポットを素通りし、特に外国人は同島が市全体の9割超を占め、町並み保存地区でも370人にとどまる。

 今年に入り、市内16店がウサギを題材にしたランチやスイーツを提供し、市はインターネットのプロモーション事業を始めるなど、ウサギ目当ての観光客を市街地などに呼び込もうと懸命だ。

 市産業振興課は「マッサンとたまゆらはいずれもインパクトがあったので、終了後に客が減るのは仕方ない。大久野島と竹原をセットでイメージしてもらえるようPRしたい」としている。(阿部健)

2017年05月25日 09時04分 読売新聞
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