イカ不足 深刻さ増す加工業界
(ほっかい道)

*ソース元にニュース画像あり*

http://www3.nhk.or.jp/lnews/sapporo/7003472391.html
※NHKローカルニュースは元記事が消えるのが早いので御注意を

国内の水揚げが過去30年で最も少なく不振を極めた去年のスルメイカ漁。
北海道の漁期は実質6月から12月までで、ことしの漁がまだ行われていない今、
水産加工品業界では原料のイカ不足が深刻さを増しています。

函館をはじめとする道南地方にはおよそ100ものイカの加工業者が集まりますが、
原料不足が経営を直撃し破綻に追い込まれるところも出始めています。

こうしたなか先頃、函館市の工藤市長が農林水産省を訪れ、加工業者をとりまく
状況の改善を求める要望書を手渡しました。
強く訴えたのが、「輸入枠」の拡大です。
国は、漁業者の利益を守るためとして海外から輸入できるイカの量を制限しています。
しかしここ10年、国内の水揚げは減少傾向で、特に去年までの2年間で大きく落ち込みましたが、
輸入枠はおよそ7万5000トンのまま変わっていません。

これを去年の国内の水揚げに足しても低水準のままで、このままでは
加工業者が必要とする原料をまかなえないというのです。

輸入枠の拡大を願う加工業者の声は切実さを増しています。
イカの珍味をつくっている函館市内の会社では、漁が行われない期間、
原料不足に拍車がかかるとみて八方手を尽くして生産に必要なイカをなんとか確保しました。
これにより、仕入れ価格は平年の3倍近くにまで高騰。
会社は商品の内容量を半分に減らし実質2倍に値上げせざるを得ませんでした。

しかしいま、これが響いて販売不振に直面しています。
会社の社長は、
「輸入枠が増えて中国・韓国がとったイカが日本に入ってくれば
仕入れ値が下がる効果が見込めだいぶ楽になる」
と語ります。

生産態勢の見直しを余儀なくされた会社もあります。
乾燥スルメをつくっている従業員およそ50人の松前町の加工会社では、
通常、仕事は午後5時すぎまでですが、いま従業員は午後2時半には作業をやめて帰宅します。
少ないイカを大手の加工会社に抑えられ十分な原料を確保できず、週に2、3日しか生産できないのです。
社長はイカの在庫はあとわずかで、このままでは事業の継続が難しくなると言います。

北海道沖のスルメイカ漁は来月1日に解禁されます。
ただ、水揚げが本格化するにはさらに2、3か月かかる上、不漁だった場合はイカ不足は解消にされません。

今後のスルメイカ漁の水揚げを期待しつつ、いかに今の苦境を乗り切っていくのか。
加工業者の厳しい戦いが続いています。

05/25 21:06