■政府・早大が開発着手

半導体などの電子部品に組み込まれた「悪意の回路(ハードウエア・トロイ)」を検知するため、政府と早稲田大学が人工知能(AI)を使った検知技術の開発に着手することが5日、分かった。
悪意の回路は特定の条件で機器の動作を止めたり、情報を外部に送信したりするなど、サイバー攻撃に使われる恐れがある。
モノのインターネット(IoT)の普及に伴い、被害が拡大する恐れがあるとして、政府は対策を急ぐ構えだ。

悪意の回路が組み込まれた電子部品は、ネットワークにつながる家電や自動車などに使われた場合、外部からの不正な侵入の“入り口”となる。
情報を盗まれたり、外部から機器を操作されたりするなどの被害が生じる恐れがある。

現在、国内では大規模な被害は確認されていない。だが、英紙デーリー・テレグラフ(電子版)によると、英情報機関が検証した結果、
中国メーカーが生産した半導体部品の中に、攻撃者が遠隔操作で機器にアクセスできる悪意の回路が発見されたという。

ただ、電子機器に使われる半導体に組み込まれた悪意の回路は多様な種類があり、検知は困難だった。

早大は不正に外部と情報をやり取りするなど、不自然な動作や通信が集中する悪意の回路の特徴に注目。
すでに特定した悪意の回路の特徴をAIに学習させ、未知の回路でも識別できる検知技術の開発を目指す。
平成32年までに検知装置の商用化につなげる考えだ。

ネットワークにつながる半導体などの電子部品は、2020年に世界で530億個に増える見通しだ。
一方で半導体部品は中国や台湾などへの委託生産が増えている。
悪意の回路の有無を設計図で検知する技術は「日本の将来を担うプロジェクト」(総務省幹部)と判断。総務省は同研究を戦略的情報通信研究開発推進事業に採択し、2年間で約5千万円を助成する。

研究代表者の早大基幹理工学部の戸川望教授は「パソコンのウイルス対策のように、電子機器内部の悪意の回路への対策が必要だ」と話した。

配信 6/6(火) 7:55
産経ニュース
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