【家電量販店でも「高級扇風機」が人気に】
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全国各地で真夏日を観測するなど、早くも日本列島を猛暑が襲っている。グングン上がる気温に比例するかのように熱を帯びているのが家電量販店の「暑さ対策コーナー」だ。
そこで人気なのはエアコンではなく、“旧型”のイメージがある扇風機。

しかも驚くことに売れ筋は3万円を超える高額製品だという。えっ? 扇風機に3万円? いったいどんな秘密があるのか──。

最新の扇風機事情について、タレントで家電製品アドバイザーの奈津子氏が解説する。

「東日本大震災による電力危機以降、消費者の節電意識は非常に高まっています。そのため各メーカーは消費電力の大きいエアコンをサポートしたり、エアコンに代わる存在として高性能扇風機の開発に力を注ぎました。
その結果、静音性に優れ、消費電力が少ないDCモーターが定番化するなどここ数年で性能は格段に上がっています。
激しい競争のなか、ファンの構造を工夫し風質に違いを出すなど差別化が顕著で、3万円を超える高級機も続々登場しています」

都内家電量販店店員・A氏も“高級扇風機”の人気を感じているという。

「蒸し暑かった昨年7月と8月の販売台数は、エアコンが前年比31%増だったのに対して、扇風機は52%増でした。今年も5月から暑い日が続いているので、すでにかなりの台数が売れており、昨年以上の売り上げを見込んでいます。
今年の特徴は、エアコンと変わらない価格帯の扇風機が売れていること。特に1日中エアコンを付けっぱなしでいると体が冷えすぎてしまうという高齢層に支持されています」

◆ひと夏で電気代たった29円

一般的には1万円足らずで売られているものが多い中、高級扇風機は何が違うのか。キーワードは「風質」「節電効果」「デザイン」の3つだという。

前出・奈津子氏によれば、ブームを牽引するのはバルミューダの『The Green Fan』(3万6000円・税別)という。

「同社が開発した二重構造のファンによって、自然なそよ風を再現しています。
一般的な扇風機と比べ約4倍の範囲に風が広がり、風の“死角”ができにくい。本体にモバイルバッテリーを搭載しているため、コードレスでの運転も可能で、いつでもどこでも使えます。
節電効果も大きく最弱運転で1日8時間使った場合、電気代は90日間で29円しかかかりません」

平均的なエアコンの電気代は、90日で約1万1300円(2016年調査。1日8時間を6〜9畳で運転)。3年ほどでもとがとれてしまう計算だ。

家電ライターの藤山哲人氏が紹介するのはダイソン『Pure Hot+Cool Link空気清浄機能付ファンヒーター』(7万4304円・税込)だ。羽根のない独特の構造が特徴だ。
「ムラのない自然な風質もさることながら、空気清浄機能がついており、冬にはファンヒーターとしても使え、1年中部屋に置いておける。
平均的な空気清浄機はPM2.5の粒子までしか除去できないが、この商品はより細かいPM0.1までカバーでき、空気清浄機としての機能は群を抜いている」

◆「蓼科高原の風」を再現

藤山氏がもう一つ紹介するのは、パナソニックの『創風機Q』だ。

「様々なバリエーションがあり、LED搭載か非搭載などによって価格は異なりますが、平均して4万円前後。一見すると扇風機には見えない球体型の前衛的なデザインが特徴です。
良質な風を生み出すために考え抜かれ、この形状になったそうです。コンパクトで置き場所にも困らない。風質は非常になめらかで、長野県の蓼科高原の風を再現しています」(藤山氏)

前出・奈津子氏が「家電ライターの間で最も注目されている商品」と語るのは、マインツの『PIROUETTE』である。

「最大の特徴は360度の首振り機能です。扇風機の前を家族で取り合うなんて風景はもう過去のものになります(笑い)。

台座のタッチパネルをなぞれば首振りの範囲を指定できるなど、スマホ感覚の操作性も新しい。
また、首振りスピードを場所によって変えられるので、部屋全体に風を対流させつつも、自分のいるところは多めに風が当たるように設定できる。このカスタマイズ感が嬉しい」(奈津子氏)

配信 2017.06.07 11:00
NEWS ポストセブン
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