6月2日、知られている限り世界最高齢だったナマケモノ「ミスC」が死んだ。43歳だった。

フタユビナマケモノ科に属するホフマンナマケモノのミスCは、同種のナマケモノの倍ほど生きていたが、高齢のあまり生活に支障をきたすようになり、人道的見地から安楽死させることになった。

オーストラリアのアデレード動物園のキュレーターで、環境保全や原生動物相を専門とするフィル・エインスリー氏は、声明の中で園を象徴する動物を失ったことに哀悼の意を表している。

「ミスCの治療には、かなり大規模な処置が必要となり、それでも死を先延ばしすることしかできない見込みでした。そのため、苦渋の決断でしたが、人道的見地から安楽死させることになりました」

ミスCは1974年生まれ。亡くなったときにはオーストラリアで唯一のナマケモノで、飼育員たちは世界最高齢だと考えていた。野生環境でのフタユビナマケモノの寿命は20年程度。ミスCの寿命がここまで長かったのは、飼育員たちの日常の世話によるところが大きいようだ。

ミスCの訃報は、この43年の間に動物園を訪れた人々によって、大きな悲しみをもって受け止められている。

「これで、オーストラリアにナマケモノはいなくなってしまいました。このすばらしい動物を再び飼育したいと考えていますが、アデレード動物園やオーストラリアを家と呼べるナマケモノが現れるまでには、少し時間がかかるかもしれません」。エインスリー氏はそう述べている。

ホフマンナマケモノは中米と南米が原産で、ホンジュラス、エクアドル、ペルー、ブラジル、ボリビアに生息する。世界で最も動作の遅い哺乳類といわれており、毛の中に藻類が生えることも珍しくない。ホフマンナマケモノは夜行性で、1日に15時間から20時間は眠る。

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