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2017/7/3 23:43

 ドローンの操縦方法を教えるスクールが、全国で続々と設立されている。ドローンを飛ばすこと自体は難しくないが、測量・物流といった産業面や、災害現場での活用には技量が必要とされ「熟練操縦士」の育成が急がれている事情がある。

 3月、山梨県甲斐市にある日本航空学園運営の「ドローンパイロットスクール」。10〜70代の14人がコントローラーを操り、ドローンをホバリング(空中停止)させたり、十数メートル間隔で置かれた三角コーンの上空を往復させたりしていた。

 同スクールでは実技のほか、航空法や電波法、雲の流れや風向きから天気の急変を把握できる知識などを学ぶ。3月に受講者資格を20歳以上から16歳以上に引き下げた。同県都留市の高校1年、畑野剣輝さん(16)は「実践的な授業で勉強になる。将来は防災や人助けに生かしたい」と話す。

 業界団体の日本UAS産業振興協議会(東京)やドローン操縦士協会(同)によると、同様のスクールは5月末現在、全国で100校を超えた。

 測量に使われるドローンの多くは全地球測位システム(GPS)を搭載。通常はプロペラが自動調整され、風に流される心配は少ないが、システム不調時にも安定飛行させるには一定の操縦技術が求められる。

 山梨県測量設計業協会は6月から、ドローンパイロットスクールに会員企業の社員のあっせんを始めた。「ドローンは対象物に近接して測量できるし、作業効率も上がる」と担当者は期待する。

 山岳遭難など災害現場の不明者捜索にも有効だ。徳島県の鳴門市消防本部は、体温を感知する機器を搭載したドローン1台を導入。外部講師を招き、職員に操作技術を習得させた。「ドローンと操縦士を増やしていきたい」としている。

 日本UAS産業振興協議会の熊田知之事務局長は「産業面での活用はまだ始まったばかり。機器トラブルであらぬ方向に飛んでいった場合も、冷静に適切に対応できる操縦士の育成が急務だ」と話している。〔共同〕