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[スパータンバーグ/チャールストン(サウスカロライナ州) 30日 ロイター] - 米国は貿易相手国に強硬姿勢で臨むことによって製造業の雇用を取り戻すとトランプ米大統領が約束する何年も前から、そうした雇用はすでに国内で増加していた。しかもその大立者は主に、トランプ氏が「悪党」と見なす外国企業である。

米連邦政府の雇用データをロイターが分析したところによると、2010─2014年に製造業で創出された65万6000人の新規雇用のうち、3分の2が海外直接投資によって生み出された可能性がある。

直近の雇用者数は入手できないが、過去2年間で7000億ドル(約79兆円)超の外国資本が米国に流れ込んでおり、累積ベースでの海外直接投資額は2016年末時点で計3.7兆ドルに上る。これは世界で最大規模となる。

米国内の工場にばく大な資金を投入している外国企業や、工場を誘致する地元当局者らは現在、もしトランプ大統領が貿易の自由化を後退させるという自身の公約を実行するなら、そのような投資を後押しする世界の供給ネットワークが混乱をきたすと懸念している。

トランプ大統領は、カナダとメキシコと結ぶ北米自由貿易協定(NAFTA)を破棄し、ドイツや中国のような対米貿易黒字国に対する関税を引き上げると脅しをかけている。トランプ政権はまた、移民規制の強化や投資計画に対する審査の厳格化を検討している。

昨年の米大統領選では、トランプ氏の強硬メッセージは「ラストベルト(さびついた工業地帯)」と呼ばれる米中西部・北東部地域の票を集め、同氏を当選に導いた。しかし、そのような強硬姿勢は、製造業の雇用が最近伸びている南部の企業や地元指導者との関係を悪化させている。

米南部の各州は同大統領選でトランプ氏を支持したが、柔軟な労働法や奨励金、港や道路といったインフラ投資をアピールして、外国企業を数十年前から誘致してきた。
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(Lesley Wroughton記者、Howard Schneider記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

2017年 7月 8日 7:02 PM JST