長野県茅野市出身の建築家・藤森照信さん(70)が、半地下式の竪穴式茶室「低過庵ひくすぎあん」を同市宮川高部の実家の畑に造ることになった。

 すぐ近くには高さ6メートルの樹上に造った「高過庵たかすぎあん」(2004年制作)があり、二つで対を成す。希望者を募り、ワークショップ形式で23日から制作を始め、9月中旬の公開を目指している。

 竪穴式茶室は木造で、内部の広さは3畳ほど。大人5、6人が座れる。床面は地表から約60センチの深さにあり、半分ほど土の中に埋まった外観は縄文時代の住居のように見える。

 一番の特徴は横に動く屋根で、内部から手動で開けられる。「薄明かりの中で茶会が始まり、突如、屋根が開いて空が見えるという驚きを演出したかった」と藤森さんは話す。

 藤森さんは、03年に細川護煕もりひろ元首相の依頼で神奈川県湯河原町に茶室を造ったのを機に、自分の茶室が欲しくなり、翌年に「高過庵」を造った。10年には市民参加で、空中にワイヤでつった茶室「空飛ぶ泥舟」を実家の畑に制作し、毎年、公開している。

 「高過庵があるので低過庵を」と、05年から構想を温めていたという藤森さん。「半分、土に埋まった茶室は珍しい。関心を持ってもらえればうれしい」と話している。

 ワークショップは8月27日まで計8回を予定。希望者は茅野市美術館

http://yomiuri.co.jp/culture/20170708-OYT1T50135.html
「空飛ぶ泥舟」(手前)と「高過庵」。「低過庵」は二つの中間辺りに制作予定(長野県茅野市美術館提供)
http://yomiuri.co.jp/photo/20170708/20170708-OYT1I50039-1.jpg