http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170712/k10011055981000.html
7月12日 18時37分

強い毒を持つ「ヒアリ」が見つかった名古屋港で、今月9日に30代の男性作業員が別の外来種のアリで毒を持つ「アカカミアリ」に刺されたことがわかりました。症状は軽いということですが、愛知県などは見慣れないアリには触れないよう注意を呼びかけています。
愛知県や名古屋港管理組合によりますと、今月9日、愛知県飛島村の名古屋港の飛島ふ頭でフィリピンのマニラから陸揚げされたコンテナの外部で、およそ60匹の見慣れないアリが見つかりました。

その際、コンテナを下ろす作業をしていた30代の男性が手首をアリに刺され、病院で手当てを受けました。症状は軽く、健康に問題はないということです。

アリはその場で駆除されましたが、環境省が詳しく調べたところ、12日、中米などが原産の外来種で毒を持つ「アカカミアリ」だとわかりました。

名古屋港のコンテナ置き場では、先月末に、強い毒を持つ南米原産のヒアリも見つかっています。アカカミアリは、ヒアリより毒性は弱いものの、刺されるとショック症状を引き起こすこともあるということで、愛知県などは、見慣れないアリには触れないよう注意を呼びかけています。
アカカミアリとは
「アカカミアリ」は大きさが3ミリから8ミリほどで、体は黄色っぽい褐色をしています。ヒアリと同じように腹部に毒針を持ち、刺されると激しい痛みを感じますが、ヒアリに比べて毒性は低いとされています。

原産地はアメリカ南部から中南米ですが、貨物船などに紛れて世界各地に広がり、熱帯や亜熱帯の広い地域に定着しています。

国内でも小笠原諸島の硫黄島で定着しているほか、沖縄県などで確認されたことがあり、環境省は特定外来生物に指定しています。

アリの分類に詳しい東京大学農学部の寺山守非常勤講師は「ヒアリに比べて毒性は弱いとされているが、人によってはアナフィラキシーショックを起こすこともあり、注意が必要だ。神戸だけでなく物流の拠点となる全国の大きな港に入り込んでいないか警戒する必要がある」と話しています。