沖縄県の嘉手納基地(嘉手納町など)より南にある米軍基地の統合・返還計画をめぐり、防衛省が8月から統合先の施設整備に初めて着手することが15日、分かった。普天間飛行場=宜野湾(ぎのわん)市=の一部も先行返還を実現し、8月1日に開く予定の返還式典に菅義偉官房長官らが出席する方向で調整中。普天間飛行場の名護市辺野古移設の工事と並行し、沖縄の基地負担軽減が具体化に向け進展する。

 日米両政府は平成25年4月、沖縄の米軍基地の統合・返還計画で合意した。計画の柱となるのは、極東一と呼ばれる広大な兵站(へいたん)補給整備基地として軍需物資や生活用品を貯蔵している牧港(まきみなと)補給地区(浦添市)の統合・返還。那覇市の市街地に近い牧港補給地区は返還後の跡地利用への期待が地元では大きい。

 牧港補給地区の返還に向け、10棟以上ある巨大な倉庫群を沖縄本島中・北部にある嘉手納弾薬庫地区(沖縄市など)などに移し、機能を統合する。

 移設先となる嘉手納弾薬庫地区では長年、米軍がフェンスを設けていない敷地に住民らが出入りし、無許可でフリーマーケットや耕作を行ってきた。倉庫の整備にあたり、放置されているテントや自転車などを排除する必要があり、防衛省は今年4月、1カ月以内に物品の撤去を求める警告文書を現地に掲示した。

 撤去期限を過ぎ、所有権が放棄されたとみなし、8月から撤去と処分に着手。完了すれば不発弾の磁気探査を行った上で用地を更地に戻し、倉庫建設に移る。建設工期は5年を見込み、34年度中にも返還開始予定。

 一方、34年度に返還予定の普天間飛行場では約4ヘクタールの土地が前倒しで今月末に返還される。地元は返還地で市道の整備を進め、周辺道路で深刻な渋滞の緩和につなげる。

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